Japanische Klassiker mit Furigana
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ねことしょうぞうとふたりのおんな
猫と庄造と二人のおんな
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.020 Zeichen · 131 Bildschirme
「………わてはなあ、相手がリリーだけやったら、何もうるさいこと云えしまへんで。リリーに会いに行く云うても、リリーだけやあれへんさかいに、云いまんねんで。いったいお母さん、あの人とグルになって、わてを欺すようなことして、済むと思うたはりまんのんか。」
そう云われると、流石のおりんもグウの音も出ないで、小さくなっているのであるが、忰の代りに怒られているのは可哀そうのようでもあり、一寸いい気味のようでもある。何にしても庄造は、自分がいたら中々福子の怒り方がこのくらいでは済むまいと思うと、危く虎口を逃れた気がして、スワといえば戸外へ飛び出せるように、身構えをしながら立っていると、
「………いいえ、分ってま! あの人六甲へ遣ったりして、今度はわてを追い出す相談してなはるねん。」
と、云うのにつづいてどたんと云う物音がして、
「待ちいな!」
「放しとくなはれ!」
「そうかて、何処へ行くねんな。」
「お父さん所へ行って来ます、わての云うことが無理か、お母さんの云うことが無理か、―――」
「ま、今庄造が戻るさかいに―――」
どたん、どたん、と、二人が盛んに争いながら店の方へ出て来そうなので、慌てて庄造は往来へ逃げ延びて、五六丁の距離を夢中で走った。