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Japanische Klassiker mit Furigana

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ねことしょうぞうとふたりのおんな

猫と庄造と二人のおんな

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.020 Zeichen · 131 Bildschirme

Aozora Bunko

大方蘆屋時代には、最初に変な反感を抱いてしまったので、この猫の美点が眼に這入らなかったのであろうが、それと云うのも、焼餅があったからなのである。焼餅のために、本来可愛らしいしぐさが唯もう憎らしく見えたのである。たとえば彼女は、寒い時分に夫の寝床へもぐり込んで行くこの猫を憎み、同時に夫を恨んだものだが、今になってみれば何の憎むことも恨むこともありはしない。現に彼女も、もうこの頃では独り寝の寒さがしみじみこたえているではないか。まして猫と云う獣は人間よりも体温が高いので、ひとしお寒がりなのである。猫に暑い日は土用の三日間だけしかないと云われるのである。そうだとすれば、今は秋の半ばであるから、老年のリリーが暖かい寝床へ慕い寄るのは当然ではないか。いや、それよりも、彼女自身が、こうして猫と寝ていると、この暖かいことはどうだ! 例年ならば、今夜あたりは湯たんぽなしでは寝られないであろうのに、今年はまだそんなものも使わないで、寒い思いもせずにいるのは、リリーが這入って来てくれるお蔭ではないか。彼女自身が、夜毎々々にリリーを放せなくなっているではないか。その外昔は、この猫の我が儘を憎み、相手に依って態度を変えるのを憎み、蔭日向のあるのを憎んだけれども、それもこれも、みんな此方の愛情が足らなかったからなのだ。