Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ねことしょうぞうとふたりのおんな

猫と庄造と二人のおんな

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.020 Zeichen · 131 Bildschirme

Aozora Bunko

れたり、―――全く、リリーのためでなかったら、誰に頼まれてこんな嫌な仕事をしよう、だが又リリーのためならばこう云う苦労を厭わないとは、何としたことであろうと思うと、返す返すも、蘆屋の時分に、なぜこの半分もの愛情を以て、この獣をいつくしんでやらなかったか、自分にそう云う心がけがあったら、よもや夫との仲が不縁になりはしなかったであろうし、このような憂き目は見なかったであろうものをと、今更それが悔まれてならない。考えてみれば、誰が悪かったのでもない、みんな自分が至らなかったのだ。この罪のない、やさしい一匹の獣をさえ愛することが出来ないような女だからこそ、夫に嫌われたのではないか。自分にそう云う欠点があったからこそ、ハタの人間が附け込んだのではないか。………

十一月になると、朝夕の寒さがめっきり加わって、夜はときどき六甲の方から吹きおろす風が、戸の隙間から冷え冷えと沁み込むようになって来たので、品子とリリーとは前よりも一層喰っ着いて、ひしと抱き合って、ふるえながら寝た。そしてとうとう怺えきれずに、湯たんぽを使い始めたのであったが、その時のリリーの喜び方と云ったらなかった。