Japanische Klassiker mit Furigana
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ねこはち
猫八
岩野 泡鳴
Lesen Sie 猫八 (ねこはち) von 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.513 Zeichen · 39 Bildschirme
いつしか坐りなおしていた自分の用意には、高座におけると同様の引き締った精神が現われてまだやらぬうちから自分の物真似声が自分には聴こえていた。右の手の小指を鍵の手に曲げて、すぐ明いた口の中へ持って行きかけたが、ちょッと中止してその指を調べてみながら、半ば独り言のように、「汗で油切ってるから、うまく行くかどうか?」
いちおうその指のあせを手拭いで拭き取ってから、どこを風が吹くと言わぬばかりにして、ほうほけきょうとやった。
「巧いものだ、なア」と、天神さまはいきなりこう賞めたのだが、それがうるさかった。
「今のは籠の中での鶯ですが、今度は谷わたり」けきょ、けきょ、けきょ、ほうほけきょう! それから引き続いて松虫、鈴虫、轡虫の声。また、鴉、ひばり、うずら。合わせた唇を平たく前の方へ突きだして、おけらの声。寝静まったらしい近所へは少し迷惑だろうがと言って、雄鶴雌鶴の啼き分け。また草ひばりの声もきかせた。
どの啼き声にも、啼き声にも、聴き手が聴き手だけにこちらが奮発できたので、皆も静かに耳を傾けた様子が見えて、自分の思いどおり自分も満足した、そしてお負けとして蚯蚓の声をしてみせるつもりで、