Japanische Klassiker mit Furigana
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ねこぐるま
猫車
宮本 百合子
Lesen Sie 猫車 (ねこぐるま) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.310 Zeichen · 35 Bildschirme
「はよ御飯にしよ。直はお湯はあとまわしじゃと」
ポンプのところで手だけ洗った直二が、頸のまわりの手拭をはずして拭きながら、
「わしはここでええ。面倒じゃけ」
土間から腰かけを引っぱって来て、七輪のおいてある縁側に向って陣どった。正一は、大きくあぐらをかいて、長男らしく畳の上の餉台に向った。
おさやは、湯気の立つめばるの汁をよそってやりながら、
「どうじゃった、長瀬へもまわれたか?」ときいた。
「ああ。二度往復した」
「十四円じゃろ」
「ああ」
「――あしたは日てえ上田じゃ、電話よこしよった」
「ふーん」
十九になったばかりの直二は、泥だらけのオバオールで、飯茶碗を片っ方にもったまま、箸をもっている手で汁碗を逆手にもったりして、余念なく食べている。
やがてお縫が後片づけに土間へ下り、兄弟は中の間へ行って父親の両側にねまった。正一は父親の掛布団をひっぱって自分の腹へもかけるようにして右っ側へ。直二も湯から上って来ると、力仕事で急に大人びた体に合わしては少年ぽい絣が荒すぎる長着姿で、左っ側へ。一日の疲労と満腹とで若い兄弟はどちらものうのうと体をのばし、夢と現の境である。