Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 174.521 Zeichen · 344 Bildschirme
荷作りはコモ包みを専門家が来てこしらえて、発送するばかりとなり、あのガランとした玄関の土間に人の通るせきもなくつみ上げられました。仁王のような男が来てやりました、それはきのうのこと。一昨日は陶器の商売人が来て、七十歳の体を小まめにかがめて午後一杯価づけをいたしました。陶器の方もこの二三日で処分するものは処分し、のこしておきたいものは、のこすでしょう。
そのさわぎで、家じゅう一ところも常態でいるところはなくなってしまいました。食堂の大テーブルは、陶器陳列用につかわれて、小さいテーブルで食事だけはしているし。台所が一番いつも通りなので、わたしは食事係をひきうけている関係から、台所で働きつつ小説をよむという暮しでした。小説はよめても、書けないわ、職人の出入りするところでは、ね。
きょうになったらもう辛棒しきれなくなって、二階に大車輪で自分のものを書くところこしらえた次第です。目白の頃のようにね、八畳の室の入った左手に机、その奥にベッド、つき当りに小さい本棚。ここへ来れば、わたし達の雰囲気があるようにしました。そして、やっとさっき顔を洗い、足を洗い、着物をかえて、書きはじめました。