Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 120.583 Zeichen · 240 Bildschirme
何だったの? 電報、といきなり訊いたら、奥さんじゃ分らないかもしれないんですが、と、防火改修の支払受取の件なの。何だと思ったが安心いたしました。
こんどの十日間は、わたしにとって実に名状出来ない効力がありました、先ず、という心持で、すっかりのんびりしたし、永年の生活が形の上で一変化する切かえを大変いい工合になだらかに切替えることになりましたし、それにもまして心に刻まれるのは、ああやって江場土で暮してみて、はじめて寿のいじらしさが何の障害もなく感じられて、謂わば妹一人とりかえしたようなしんみりしたよろこびがあります。東京に来ているときは、遑しいし第一、ここの家に対する苦しい反撥した気分(無限の親しさを拒絶されたところから来る)とわたしへの親愛、寿の目からみればのさばっていると写る菅谷一族への感情なんかが絡み合って、あのひとのこじれ皮肉になっている気分は、いつもわたしを焦立たせ彼女の下らなさを切なく思わせます。結局こんな人なのかと思いすてるようなところさえ出来ていたの。江場土のあの小さい葭簀を垂れ下げた家のゴタゴタの中で、寿は自分の生活としているから、そして今度わたしが行ったのは、寿にしてもそう度々くりかえされようとは思わない逗留でしたから、心からたのしく働いて暮して、わたしをのんびりさせて休ませ、能う限り