Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.557 Zeichen · 426 Bildschirme
私が近頃感じている仕合わせにはこういう要素もあるの。そして、自分がこんなにひどく損傷され、まだこんなひどく不自由で、それでこういうよろこばしい感情を折々、寧ろ屡※(二の字点、1-2-22)持てるのは、どういうわけかとそのことについて真面目に熟考するのです。丁度五月頃の夕方のトワイライトは、ものの上にある光の反射をなくするので様々の色が却って細かく見えるように、私の今の程度の弱さが、自分の心やひとの心のニュアンスをしみじみと眺め、それを映すのでしょう。私の頭は不快な疲れというものをこれまで知りませんでした。柔軟で自分の活々とした働きをたのしむように根気よく、よく役に立ったが、今は疲れ易くその疲れかたは苦しくいやなものです。頭が熟したぐみの果のように充血して重く変にぼってり軟くなった感じで。これは私を悲しませます。相当に悄気させます。少年の皮膚のようにしまって艷があって、きめのこまかい感じが忘られず、いつそう戻るか、あるいはもうそうはならないのか。そう思うの。悄気て悲しい心持でそう思うけれども、又こうも気をとり直します。私のそういう生理的な丈夫さは、或は私をこれ迄能才者という範囲に止めていたかもしれないと。