Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.557 Zeichen · 426 Bildschirme
黒海という名のあるだけ、この海は紺碧で、古い岩は日光に色々に光って松が茂り、そのかげには中世の古城が博物館となっていました。セバストーポリの町に入る手前に街道が急カーヴしている処があって、其処に一つ大理石のアーチが立っています。ヤルタの方から来るとそのアーチは、まるで天の門のように青空をくぎって立って居り、其処をくぐってセバストーポリの古戦場の曠野の方からそっちをふり返ると、同じように道は見えず、四角いアーチが空に立っていて、その感じは実に独特でした。不思議な哀愁を誘います。セバストーポリもヴェルダンも遠い彼方に山々が連って、まわりは広茫とした平野で、新市街はずっとその先にあります。ヴェルダンなどは全く「白い町」で、今日生きている人の住んでいる処と云えば、小さい川っぷちや、停車場前のほんの一つかみのものです。あとは無限に広く、暗く、寂寞のうちにあります。バクーから黒海岸へ出る夜汽車の中で頭に羊皮帽をのせた人達が手ばたきをして歌を唱い、一人が車室のランプの下で踊っていたのも思い出します。スターリングラードのホテルも思い出します。その道も。波止場も。