Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.557 Zeichen · 426 Bildschirme
「くれない」のときは作者に信望とでもいうものが在りました。現在それはなくなりました。それらのことを悧口な人だからすっかり知っているでしょう。そして、同じ悧口さで、親しい友人に対して自分のとって来た態度もわかっているでしょう。本当に生活がこわれ崩れたというだけの下らなさと自分から認めて、友達にも心持うちあけず、いるところも知らさないというその賢こさは、世俗的な賢こさで、そこに到るまで友人たちに一言も自分たちの暮しかたについて口をきかせず突ぱって来た、その勝気さの裏側で、私たちとして何と心が痛むでしょう。特に私は十三年の下らない事件のときは御主人から全く非友人的な扱われかたをしました。その人柄の底を見せられました。あのとき細君は目白の家の二階で、何と慟哭したでしょう。そして、身をしぼるような声で「わたしは不幸になりたくない。正しいことからでも不幸にはなりたくない」と泣きながら云いました。私には、その慟哭が、今は自分がなぐさめてやれないところできこえているようです。更に更に苦く、更につめたく涙は流れるでしょう。不幸になりたくない故に、全力をつくし迎合し、自分の生涯を歪めたあげく、迚もやってゆけないことになったとして、どうでしょう。