Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.557 Zeichen · 426 Bildschirme
帝大から四千人の学生が出征しました。大講堂の入口に佇んでその行進を見送る総長の髪の白い、背のまるい、国民服の姿が新聞に出ました。
うちの書生さんはもう二三日でかえります。私は、この人から迷惑も蒙ったが、ひっくりかえったときは幾晩も徹夜で働いてくれその後も氷買いだけだって大した骨折りをさせましたから餞別を三十円やります。
バルザックの小説のことゆっくり書こうと思います。こんどはいろいろわかり彼の大作家であるわけもよくわかります。一番私が有益に、興ふかく思うところは、バルザックが、人間関係というものに示している執拗な描写です。もとは、その点の価値が分らなかったから、彼の描く性格の単調なところ、殆どモノトナスなところ、がひどくいやでしたが。関係をかく彼の作家的力量は巨大です。
昔、彼が現実を描くと云って妙にもち上げられた時(西鶴、バルザックという風に)、もち上げた人たちは、真に彼の大作家たる強さ、実に大きい強さは決して理解しなかったし学ぼうともしなかったようです。何故ならもし其がわかれば、当時自分たちが、何故バルザックに戻ってそれをかつぐかという心理関係がまざまざと自分に見えたわけですから。