Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.557 Zeichen · 426 Bildschirme

Aozora Bunko

そうして人間らしさはいつしか急降下しつつあります。あなたが、どんなときにも、私に人間のまともさだけを求め、便宜や好都合のために私の動くことをちっとも予想もしていらっしゃらないということは、こういう時勢の中で、全くおどろくべきことであると深く思います。自分がそういう醇厚なこころのうちにおかれてあるということについて、私は謙遜になります。そして、それがわかっているようでわかっていなかったようなところをさとります。そのために、下らないことでさっぱりしない気持におさせし、話の底がわからないという感じをもたせ、すみませんでした。これは、私の安手なところから起っていることで、私にそういうところがあるということについて悲しく思います。自分が、あんこで云えば飛切り上等というところまで火が入ってねりがきいていず、ざらついたり水っぽかったりして、それを味わうとき、あなたの胸の内側はいやな思いでしょう。人間の資質は何というおどろくべき等差をもっているでしょう。人間の立派さというものの立派さは、それを理解する能力はもって生れたものでも、その能力が直ちにその立派さと等しいものではないという厳然とした堰があります。