Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.557 Zeichen · 426 Bildschirme
私は全く花や木がすきよ。本当にすきよ。瀟洒としてしかもつきぬしおりのある若木の姿など、新緑など、その茂みの中に顔を埋めたいと思います。今うちの門から玄関にゆく間のあの細い道は溢れる緑と白い花です。どうだんという木は今頃若葉と白い鈴のような花をいっぱいにつけます。樹の美しさを話すのも久しぶりのように思われます。
本と足袋明日お送りします。
昨夜ふと気になったらえらく心配になりましたが、あなたの冬羽織、下着、どてら、毛のジャケツ一組等はどこにあるでしょう。まだお下げにならなかったの? この間はボーとしていて冬の着物一つもらってかえったけれども、考えてみると羽織その他大事なものどもは、どうなっているかと、女房らしく気が揉めはじめました。どうぞ御返事下さい。『廿日鼠』は私も面白いと思いました。あの小さい方の男が、気やすめとはっきり知って気休めを云っているところ、しかし大男や黒坊や掃除夫は、シニカルな気持の半面で真実それにひかれているところなど、ヒューメンな味が感傷でなく在って、あの一束の人たちの作品の特質は主としてそのところに在ると思われます。彼は物理と生物学の勉強をしているそうです。