Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごくちゅうき

獄中記

大杉 栄

Lesen Sie 獄中記 (ごくちゅうき) von 大杉 栄 (おおすぎさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.988 Zeichen · 58 Bildschirme

Aozora Bunko

本当にうちへ帰ったような気がする。

「僕は法廷に出るのが大嫌いだ。ことに裁判官と問答するのはいやでいやで堪らぬ。いっそのこと、ロシアのように裁判しないですぐシベリアへ逐いやるというようなのが、かえって赤裸々で面白いようにも思う。貴婦人よりは淫売婦の方がいい。

「裁判が済めばまず東京監獄へ送られる。門をはいるや否や、いつも僕は南京虫のことを思って戦慄する。一夜のうちに少なくとも二、三十カ所は噛まれるのだもの、痛くてかゆくて、寸時も眠れるものじゃない。僕が二、三日して巣鴨に帰ると、獄友諸君からしきりに痩せた痩せたというお見舞いを受ける。

「ただ東京監獄で面白かったのは鳩だ。ちょうど飯頃になると、窓のそとでばたばた羽ばたきをさせながら、妙な声をして呼び立てる。試みに飯を一かたまり投ってやる。十数羽の鳩があわただしく下りて来て、瞬く間に平らげてしまう。また投ってやる。面白いもんだから幾度も幾度も続けざまに投ってやる。飯をみな投ってしまって汁ばかりで朝飯を済ましたこともある、あとで腹がへって困ったが、あんな面白いことはなかった。

「巣鴨に帰る。大変早かったね、裁判はどうだった。