Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうき
獄中記
大杉 栄
Lesen Sie 獄中記 (ごくちゅうき) von 大杉 栄 (おおすぎさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.988 Zeichen · 58 Bildschirme
幼年学校時代の癖と言えば、もう一つ、妙な癖をやはりこの監獄で発見した。
これはその後よほど経ってからのことだが、やはり何か叱られて、看守長室へ呼ばれたことがあった。その看守長はせいの低い小太りで猫背の、濃い口髯の、そしていつも顔中髯だらけにしてその中から意地の悪そうな細い眼を光らしている男だった。僕等はこの男を「熊」と呼んでいた。
はいると、いきなり、
「そこへ坐れ。」
と顎で指さした。見ると、足元にはうすべりが二枚に折って敷かれている。僕は黙って知らん顔をしていた。煉瓦造りの西洋館の中で、椅子テーブルを置いて、しかも向うは靴をはいてその椅子に腰掛けながら、こちらには土下座をしろと言うのだ。僕はほとんどあきれ返った。
「なぜ坐らんか。」
「いやだから坐らない。」
「何がいやだ。」
「立っていたって話ができるじゃないか。」
「理窟は言わんでもいいから坐れ。」
「君も坐るんなら僕も坐ろう。」
というような押問答の末に、さっきからその濃い眉をびくびくさせていた看守長は、決然として起ちあがった。
「命令だ! 坐れ!」
僕はこの命令という声が僕の耳をつんざいた時に、その瞬間に、僕のからだ全体が「ハッ」