Japanische Klassiker mit Furigana
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ごくちゅうき
獄中記
大杉 栄
Lesen Sie 獄中記 (ごくちゅうき) von 大杉 栄 (おおすぎさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.988 Zeichen · 58 Bildschirme
最初の東京監獄の時は弁当の差入れがあるのだから別としても、その次の巣鴨の時にも、二度目の巣鴨の時にも、刑期の短かかったせいかそれほどでもなかったが、こんどは自分ながら呆れるほどにそれがひどくなった。好き嫌いのずいぶんはげしかったのが、何でも口に入れるようになったのは結構だとしても、以前には必ず半分か三分の一か残ったあのまずかった四分六の飯を本当に文字通り一粒も残さずに平らげてしまう。おはちの隅にくっついているのも、おしゃもにくっついているのも、落ちこぼれたのさえも、一々丁寧にほじくり取り、撫で取り、拾い取る。ちゃんと型に入れて、一食何合何勺ときまっている飯の塊を、きょうのは大きいとか小さいとか言ってひそかに喜びまたは呟く。看守が汁をよそってくれるのに、ひしゃくを桶の底にガタガタあてるかどうかを、耳をそばだて眼を円くして注意する。底にあてれば、はいる実が多いのだ。それも茶碗を食器箱の蓋に乗せてよそって貰うのだが、その蓋の中にこぼれた汁も、蓋を傾けてすすってしまう。特に残汁と言って、一と廻り廻った残りをまた順番によそって歩くことがある。その番の来るのがどれほど待ち遠しいか知れない。