Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごくちゅうつうしん

獄中通信

戸坂 潤

Lesen Sie 獄中通信 (ごくちゅうつうしん) von 戸坂 潤 (とさかじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.798 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

春も近いね。

*嵐子氏東京女子大入学のこと。

戸坂嵐子殿(三月二日午前)

三月だと云うに雪どけで寒いことだ。あと三週間もして、彼岸のお萩でも食べれば、春めいて来よう。お父さんは相変らず仏教の勉強に余念がない。正月以来十一冊ほど好書を読むことが出来た。――四月にでもなったら原田のおばさんの処で、嵐子やお父さんの近況を報告しておやり(但し家のことは心配無用と断って)。――海の二学期の成績をまだ聞いていない。知らせて欲しい。――お父さんの格子の冬合服木島あたりで裏がえしをするか、するならさせること。靴各種(長靴を含む)修繕出来たらしてほしい。――先月のお父さんの葉書勿論見たことと思う。

嵐子の二月三日の手紙以来まだ通信を受け取らないが、空襲などで遅れているのだろう。併しかまわず続々と手紙が欲しい。――思いついたのだが、おばあちゃんは、もし酒の配給が家に来るようだったら一日に一遍ぐらい少しずつ飲むのが消化を助けると思うが。

戸坂嵐子殿(四月十二日午後)

愈々春だが、ここではまだ底寒い。二月の末から三月の中旬頃まで、寒波との闘争につかれて(抹消)衰弱し、胃を害していたが、この頃は眼に見えて恢復して来た。