Japanische Klassiker mit Furigana
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げんだいしょうせつてんぼう
現代小説展望
豊島 与志雄
Lesen Sie 現代小説展望 (げんだいしょうせつてんぼう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.254 Zeichen · 70 Bildschirme
おや、何とかいった野郎が出て来たぜ。お早う! 気がつかない。ほんの挨拶をする位の知合というものは少々うるさいもんだ。奴の後姿はあのノルウェーの船長に似ている。今日奴に会うのかな。撒水車。わざと雨を呼び出そうとするようなもんだ。天になる如く地にもならせ給え、か。
(森田草平ほか五氏共訳)
これは「ユリシーズ」の一節である。そしてこの小説が、ホーマーの「オディッセー」から骨組を取ってきたことや、ダブリン市における一小市民の一日の経験記録にすぎないことや、しかも二十世紀の各種の思想や世相や性格の圧縮図であることなどは、ここでは大した問題ではない。重要なことは、行文の紛糾錯雑を顧みずに作者が「意識の流れ」をじかにたどろうとした企図、全く句読点のない文句の連続――観念の連続――の四十頁を最後に必要とした態度である。
以上述べたような――その例を外国にばかりとらねばならなかったことを私は遺憾に思うのであるが――いろいろな主張や作品は、文芸に新らしい領土を開拓した。これまでの文芸は、人間の行動を主にその対象としていた。心理解剖でさえも、全く行動の説明のためのものであった。