Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
りそうのおんな
理想の女
豊島 与志雄
Lesen Sie 理想の女 (りそうのおんな) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.162 Zeichen · 77 Bildschirme
「勝手にするがいい!」
そう私は云いすてて、階下へ下りて行った。みさ子はすやすや眠っていた。私は堪らなくなって、着物のまま蒲団の中へもぐり込んで、夜着を頭から被った。頭が熱くなっていて、足先がぞくぞく冷たかった。傍の蒲団の中に寝ている秀子の姿を見出したのは、翌日眼を覚してからだった。
そして、私達は朝から口を利き出した。然しそれは、如何に冷かな用件のみの言葉だったろう! 二人の間に深い溝が掘られたことを、私は感じた。激しい喧嘩の末、私達は二三日言葉を交えないことがあったが、それでもそういう反目は、お互に一つの根で繋ってるという意識から来る苛ら立ちで、繋りながら争ってるという苛ら立ちで、助長せられたものであった。所が今や、二人を結びつける根が断たれたような冷かさが、互に別個なものになったというような無関心さが、二人の間に挾まってきたのである。濡いのない言葉――感情の籠らない言葉を、互に時々交しながら、或る破滅を期待する恐れで、心を固く鎖していた。
それが私には堪え難かった。家庭に於ける彼女の圧迫から来る息苦しさは、前方に破滅を予期する息苦しさに変っていった。