Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

りそうのおんな

理想の女

豊島 与志雄

Lesen Sie 理想の女 (りそうのおんな) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.162 Zeichen · 77 Bildschirme

Aozora Bunko

私達は黙り込んでしまった。

私は頭と身体とが困憊しきっていた。二階に上って、椅子にかけたままうとうとしながら、凡てを忘れてしまおうとした。頭が茫として力が無かった。訳の分らない象が入り乱れて、白日夢を見てるような気がした。……と、私ははっと我に返った。縁側に、障子の向うに、誰かがしょんぼり伴んでいた。それがはっきり見えてきた。「彼女だ!」と私は心に叫んだ。すると、その姿は煙のように消えてしまった。私は心乱れながら、縁側に出てみた。明るい日の光りが、大気のうちに一面に漲っていた。私はその真昼の明るみの中に、取り失った姿を探し求めた。菊代のことが頭に映じてきた。そして昨夜のことが……それは、噫、「彼女」を心に描きながら行った自涜行為に過ぎなかった。私は庭の方へ、かっと唾をした。その後で、堪らなく淋しく悲しくなった。

私は不快と寂寥との余り、昼食も取らなかった。湯に行ってみると、蒼い血管の浮いて見える自分の肉体が惨めで汚く思われてきて、すぐに飛び出してしまった。外を歩く気にもなれなかった。家にじっとしてる気にもなれなかった。「彼女」が何処かに、至る所に、立っているように思えて、しきりに気にかかった。