Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ことのそらね

琴のそら音

夏目 漱石

Lesen Sie 琴のそら音 (ことのそらね) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.985 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

と露子は大に感嘆する。

「いえ、まだこれから行くんです」とあまり感嘆されても困るから、ちょっと謙遜して見たが、どっちにしても別に変りはないと思うと、自分で自分の言っている事がいかにも馬鹿らしく聞える。こんな時はなるべく早く帰る方が得策だ、長座をすればするほど失敗するばかりだと、そろそろ、尻を立てかけると

「あなた、顔の色が大変悪いようですがどうかなさりゃしませんか」と御母さんが逆捻を喰わせる。

「髪を御刈りになると好いのね、あんまり髭が生えているから病人らしいのよ。あら頭にはねが上っててよ。大変乱暴に御歩行きなすったのね」

「日和下駄ですもの、よほど上ったでしょう」と背中を向いて見せる。御母さんと露子は同時に「おやまあ!」と申し合せたような驚き方をする。

羽織を干して貰って、足駄を借りて奥に寝ている御父っさんには挨拶もしないで門を出る。うららかな上天気で、しかも日曜である。少々ばつは悪かったようなものの昨夜の心配は紅炉上の雪と消えて、余が前途には柳、桜の春が簇がるばかり嬉しい。神楽坂まで来て床屋へ這入る。未来の細君の歓心を得んがためだと云われても構わない。