Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ことひら

琴平

宮本 百合子

Lesen Sie 琴平 (ことひら) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.637 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

「――さあ、平気じゃないですね」

「そうなわけよ」

どやどやと賑やかに、小さな店へ入った。小さい女の子もいそいそと一人前に椅子にかけて、さて、小さいお椀によそって出された、栗ぜんざいを一吸いして、私たちは、しんみりとおとなしくなってしまった。やがて、女の子が情けなさそうに、

「もういいの」

と母親にお箸をかえそうとした。私は、子供が甘いだろうと信じて、フーフーふきながら吸ったこころもちが可哀想で、

「じゃ、これはどう? きっと、これをたべながらのむと美味しいかもしれない」

と、お芋のおでんをとってやった。

おでんのお芋は、黒芋で、大半黒くなっていた。

「じゃかえりましょうか」

又提灯に灯を入れてその店から雨の往来に出た。商人は今日もやはりあくまで琴平流に徹底している。母と来たとき、食堂のようなところで親子丼をたべた。たべたというよりも食べずにいられなかったのであったが、そのときの不親切な味の水っぽさ、もののわるさは忘れがたい。それだのに、くりぜんざいにはつい釣られた。栗とぜんざいとが別々にかかれていたのなら、私たちも大丈夫だったのに、と歎いた。自由平等と重ねてかかれていると、ふとそのままで実質がどこかにあるような気になるように、栗ぜんざいと書かれると、私たちのお人よしが甘い内容づけをして、さか恨みをすることになった