Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うりのなみだ

瓜の涙

泉 鏡花

Lesen Sie 瓜の涙 (うりのなみだ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.247 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

「……御飯が食べられますように、……」

父が存生の頃は、毎年、正月の元日には雪の中を草鞋穿でそこに詣ずるのに供をした。参詣が果てると雑煮を祝って、すぐにお正月が来るのであったが、これはいつまでも大晦日で、餅どころか、袂に、煎餅も、榧の実もない。

一寺に北辰妙見宮のまします堂は、森々とした樹立の中を、深く石段を上る高い処にある。

「ぼろきてほうこう。ぼろきてほうこう。」

昼も梟が鳴交わした。

この寺の墓所に、京の友禅とか、江戸の俳優某とか、墓があるよし、人伝に聞いたので、それを捜すともなしに、卵塔の中へ入った。

墓は皆暗かった、土地は高いのに、じめじめと、落葉も払わず、苔は萍のようであった。

ふと、生垣を覗いた明い綺麗な色がある。外の春日が、麗かに垣の破目へ映って、娘が覗くように、千代紙で招くのは、菜の花に交る紫雲英である。……

少年の瞼は颯と血を潮した。

袖さえ軽い羽かと思う、蝶に憑かれたようになって、垣の破目をするりと抜けると、出た処の狭い路は、飛々の草鞋のあと、まばらの馬の沓の形を、そのまま印して、乱れた亀甲形に白く乾いた。それにも、人の往来の疎なのが知れて、隈なき日当りが寂寞して、薄甘く暖い。