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Japanische Klassiker mit Furigana

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うりのなみだ

瓜の涙

泉 鏡花

Lesen Sie 瓜の涙 (うりのなみだ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.247 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

怪しき臭気、得ならぬものを蔽うた、藁も蓆も、早や路傍に露骨ながら、そこには菫の濃いのが咲いて、淡いのが草まじりに、はらはらと数に乱れる。

馬の沓形の畠やや中窪なのが一面、青麦に菜を添え、紫雲英を畔に敷いている。……真向うは、この辺一帯に赤土山の兀げた中に、ひとり薄萌黄に包まれた、土佐絵に似た峰である。

と、この一廓の、徽章とも言つべく、峰の簪にも似て、あたかも紅玉を鏤めて陽炎の箔を置いた状に真紅に咲静まったのは、一株の桃であった。

綺麗さも凄かった。すらすらと呼吸をする、その陽炎にものを言って、笑っているようである。

真赤な蛇が居ようも知れぬ。

が、渠の身に取っては、食に尽きて倒るるより、自然に死ぬなら、蛇に巻かれたのが本望であったかも知れぬ。

袂に近い菜の花に、白い蝶が来て誘う。

ああ、いや、白い蛇であろう。

その桃に向って、行きざまに、ふと見ると、墓地の上に、妙見宮の棟の見ゆる山へ続く森の裏は、山際から崕上を彩って――はじめて知った――一面の桜である。……人は知るまい……一面の桜である。

行くに従うて、路は、奥拡がりにぐるりと山の根を伝う。