Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
「どうしたんでしょう、若旦那は。すぐ帰ると言って出かけられたのですが、遅うございますわね」と、わたくしの為めに気を揉んで呉れます。わたくしは、
「いえ、どうせ、暇なんですから、ゆっくりお庭を見せて頂いておりますわ。そのうちには屹度戻って来られましょう」
と却ってこっちで取做すくらいにして寮番の妻を退けたあと、化粧を装ったり、冬の陽のあたゝかく射す庭芝を眺めたり、部屋の中を見廻したりしながら、胸の中では葛岡の事件に就き、こうもしようあゝもしようかと手段をいろ/\に考え耽っています。
去年の秋の末に、池上とは中洲の菊廼家で合って以来、なお二三度、わたくしは池上に食事に連れ出されております。母はひそかに、その都度、池上がわたくしに陥ち込んで行く度の深まるのを推量して、ほくそ笑みました。
池上はまた、母のそのほくそ笑みに嵌るのを承知でわたくしに親しみを増して来ました。
母はだいぶ安心したものか、もうこの頃ではわたくしを芸妓にするの妾に出すのなぞという見え透いた脅しは言わなくなったと池上は苦笑していました。
そしてわたくしのこころは? わたくしももう十八歳ですから、身の振り方に就て考えないことはありません。