Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
その友だちというのは、池上が高等学校時代、寮を同じくしていた親友で、同じ文科志望だが、その友人は美学方面から印度の仏教美術史を専攻するつもりだったのだと池上は話した。
「その友だちは言った。君たちは、人間を単純に人間と思っていよう。だが、それは皮相な観察だ。人間の中には、もう人間でない人間も多少は混っているのだ。その人間はすでに人間を追い出されかけている。人間から孵りかけている。人間からふわり/\脱け出しかけている――という人間だ。このものゝ一種を、印度の古典思想では慾天と名付けているのだが――」
と、池上はその死んだ昔の親友の言葉を感銘を新しくしてわたくしに語り出しました。
慾天には六つの種類がある。そしておよそ生物の慾望の充足というものには、おの/\持前に具体の途があるものだが、この慾天のそれに至っては極めて抽象に近くなって来るのであった。例えばその第四の兜率天という慾天の如きは、手を執り合うだけでその充足を得る。第五の楽変化天の如きは相い視て笑うことによってその充足を得る。第六の他化自在天に至ってはただ相視るだけのそれのみが充足である。生物に於て最も現実的なこの種の慾さえ、こうした塩梅である。