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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうじょうるてん

生々流転

岡本 かの子

Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme

Aozora Bunko

たゞ、一つの時代の擡頭するとき人間には野獣的精力があり、時代が終る頃は慾天的に浮游する。そしてこの事は一時代中を小切った部分々々の時代にもあればその小切った時代の中に住む一家というものにもあるのだ。

「うるさいかも知れないが、も少しのところを蝶ちゃん聞いて貰いたいんだ。こゝが、いま僕を怯え上るほど悩み続けさしている問題の核心なのだから――」

池上の家の瀬戸物町の麻問屋は、旧幕時代から暖簾を続けた旧舗なのだが、息子の清太郎に取って玄祖父に当る主人太兵衛が偉かった。頃は丁度幕末維新に際したので、太兵衛は麻廻送の自持ちの船を以て、官軍方にも幕軍方にも用立てゝ莫大な利益を占めた。それが判って、官軍方の部将の前に曳き出されて詰問を受けると、太兵衛は何気なく、

「どっちも同じ日本人じゃごせんか。さりとは、しりの穴の狭い」

と答えた。部将はこの度胸を賞でゝ、それから眷顧を深くしたという。太兵衛はこの調子で衰運に瀕していた池上の家を立直したのみか、今日の基礎を作った。多くの妾を持っていたが、それ等の妾には、店で出る麻屑を与えて、祭のときに子供の用ゆる玩具の釣り下った花襷を手内職させ、その売上を養老金に溜めさせたというほどの人物であった。