Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
そこでちょっと一息入れ、黒い瞳でしばらく残りの液を見詰めていましたが、今度は全く一息にがぶりと飲んでしまい、ちょっと戸口の方を盗み見るとコップは池の向側の棕梠竹の林の中へ無慈悲に手早く投げ込んでしまいました。
この間の父は全く自分の気持だけを相手とした所作であって、前に私たちがいるのを感じていない様子でしたが、それが済むと膝の上へ突立てた腕の肘を右の手で揉みながらわたくしの方へ頸を伸ばしました。
「お蝶か、よく来たな」
そして遠視眼の人のするように眼を眇めてわたくしの顔をじっと見ました。
「大きくなったな」
さも懐かしみ慈しむように顔を交る/″\右左にやゝ傾けながら始めて見る娘ででもあるようにわたくしの顔を覗き見るのでした。
わたくしは父は好きでしたけれども、とき/″\家に来て逢う父はいつもぴり/\電気が身体中に充満しているような父で、傍にいれば鋭い男性の力で間断なく爽かに打たれ続けているという痛快な気もしましたが、また油断はなり難く、恐しくもありました。わたくしに対しては殆ど無口でよく玩具やなにか買って呉れましたが、自分の子としての存在をわたくしの上に意識しているのやら、いないのやら殆ど判りませんでした。