Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
旅人が、土足のまゝ炉端へ行けたり、団体客がそのまゝ上り込んで昼食を使ったりする為めの便利でしょうか。床板には斑々と泥の足跡がついております。
部屋は掘立小屋にも近く、荒壁や天井の木組がそのまゝ眼につくものゝ、風雪に堪えるためか頑丈な柱や板を使って、それが、幾十年かの榾の煙で黒光りに光っております。入口を挟んだ両側の壁には明り採りの小窓が開けてあり、湖辺のしら雪をさふらん色に反射しております。
入口に向い合った奥の壁は一面に重い引戸の戸棚になっており、隙間から寝布団の旧式な縞柄がはみ出しています。旅宿といっても客の部屋はこれ一つらしく、この部屋の仕切りをしている襖の角の隅に古屏風が囲ってあり、その屏風にわたくしの見慣れた先生の裏毛の外套やスカーフが掛けてあるところを見ると、ここに先生の居どころが設けられてゞもあるのでしょう。その反対の角隅には、道者の笈摺を枕元に据えて、人一人が布団を冠って臥ておりました。
「ずいぶん、粗末な宿屋でしょう。驚いた」
先生は、わたくしがいぶかしげに周囲を見廻すのを気付いてか、パイプの灰を炉べりでぽん/\とはたきながらこう言いました。