Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
「これでも、私の少女時代にはこの山頂で一ばん立派だった宿屋なんです。私はこの宿へ二十年も馴染なのです」
葛岡はと言うと、私たちがこの宿へ入って来てから先生がわたくしにかまけ切ってばかりいるのを見て、結局その方が気楽とでもいうように勝手に褞袍に着換えたり、宿のおかみさんが持出した安ビスケットや山独活の漬ものを撮んだり、コヽアを飲んだり、一人で自分の身を犒っています。先生が彼をちらりと見る度びに電気にでも感ずるように居ずまいを訂したり、緊張の顔色を見せるのは何かやはり先生に深く影響されているに違いありません。これだけは今の気分のわたくしにも不快で腹立たしいものをちょっと感じさします。
先生は私たちがだいぶ落付いた様子を見て、何気ないふうを装い、
「こゝへ私を尋ねに来るとは、あんたか蝶子さんか、どちらが先の発議なの」
と、炉の向うの葛岡へ訊ねました。
葛岡は胡坐を組んでいた膝を幾分窮屈に窄めて、わたくしの顔を見ました。ならば、わたくしに答えて貰い度いつもりらしいですが、わたくしがそ知らぬ顔をしているため、沈黙の間に詰って、おず/\質問の相手になりました。