Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
しかし、不思議なことに彼女の追憶に向うとその親切と思うような事柄も格別有難いとも思えず、わたくしの秘密を売った所行に対してもたいして憎みを感じないのでした。何だか自然の衝動で動いている罪のない虫のようで。
最後にいまわたくしの心に残るのは、老耄して十二三年も以前に見失った小猫の幻を追ったり、偶然にしろ、その亡躯は嘗ての良人の住む岸の川へ漂って行ったという、そのことでした。これだけは総ての虫らしいところを素掻いて彼女の哀れさが暴露されたように思います。
それをしも通夜の席の笑いばなしの種子にされるというのは何という果敢なくも薄手で安直な老女のいのちでしょう。
「島の部屋にお位牌が置いてあるの、お線香でも上げてやりましょう」
わたくしが立ちかけると、嘉六はとめて、
「あなたのおふくろさん不機嫌でしてな、こゝのところ家出人だの急死人だのろくでもないことばかり続く、島の位牌もせめて初七日のうちだけは家へ置いてあげるから、それから先はうちの不縁起のものまでみんな背負ってとっとと出てお呉れと言って、持ものはその竪川河岸の錺屋にやり、位牌はお経料をつけて寺へ預けてしまいました。