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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうじょうるてん

生々流転

岡本 かの子

Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme

Aozora Bunko

あとへひかるゝ力を外して捨てるように肩ごと、きつく、首を揺り、思い切って都の夜空に背中を向けます。また、とぼ/\と踏み入って行く、奥底の知れない闇と青田の泥のにおい、あ――あ、ほんとに女の独りぽっちというのは、こんなひどい気持のものでしょうか。だが、わたくしは試みねばならない。分別にまれ、人情にまれ、判るという浅墓なものは、一時、切捨てなければならない。そこにこそ真に底に徹した人間の憩いが在り、深く吸い上られて来る生きの身の力というものが若しも世に在りとするなら、その憩いに於てこそ見出さるべきものでありましょう。

わたくしは幾許の道を歩んで来たことでありましょうか。東の夜空の横雲に明るみがさし、うるんだ大きな月が出だしました。わたくしは池上が憧憬してとき/″\口誦み、その癖、自分の気持は全然それに当嵌め切れなかった芭蕉の「野ざらし紀行」の書き出しの文句の耳についてるのを、ふと思い出しまして、口に呟いてみます。

千里に旅立て路糧をつゝまず。三更月下無何入。

二度び三度び呟き返し、身に味わいしめてから、わたくしはこれが何で人が憧憬するほどの境涯であろうと不審ります。