Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
かほどまでに外のものからの影響を瑕瑾として戒めているわたくしのこころには、もはや、わたくしというものは無くなって、そこに環境の客観の世界のみがきび/\と肉附きも逞しく盛上って眼に映って来るのでした。しかし、またそれに捉われ込むのも疲れの種子と、わたくしは淡々とした興味を以て眼の前に行き過ぐる風物を送迎するのでした。したが、夫婦乞食は、わたくしには淡さにやゝ甘酸い味を混えた風物でした。それを無理に消し薄めることも亦疲れの種子の一つになりましょう。それゆえわたくしはたゞ運任せに眺めて行こうといたします。
霙は雪になりかけて、凝る雲も暗く北の空から地へ頭を競って巻き下ろうとしております。険しい天に支え柱をするかのよう幾本かの塔がぬい/\とここ遊女屋の楼閣から突き出ています。その形には、市庁の時計台のようなのもあれば、鐘だけ失ったカソリックの寺院のようなのもあり、閣寺の重塔のようなのもあれば気象台の観測塔のようなのもあります。そしてその塔々には昼日中にも係らず菜種いろの電灯がほのかにつき、窓々には尾籠なほど濃い色彩の嵌硝子が唇で嘗め濡したように光っています。