Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
妹は心が冷静なときは自分に強いて冷たくするわけでもないと判っているのでした。しかし何かのひょうしで主人が歿き姉のおもい出から脱けてないと知った場合は嫉妬と落胆とで心は散々に掻き乱されるのでした。
「主人は頼むんだよ、自分もおまえの姉の思い出を捨てるから、おまえも自分というものを捨てゝ、すっかり姉の気持になり代って呉れ」
歿き人の思い出を捨てるのも骨が折れるだろうが、自分を捨てゝ姉の気持になり代ることは一層むずかしい骨折だとご新造は言います。ご新造さんは姉の霊に祈るようになりました。どうか自分を姉さんそっくりのものにして呉れと。また妹は姉の気質から身振り言葉つきまで真似ようと務めました。その甲斐があって主人はとき/″\自分の上に姉の面影を見るようになったと言います。そこで自分は一たん歓びます。だが、それが女として何の手柄になることでしょう。自分の心の手堪えになることでしょう。主人の愛は矢張り姉に対する愛で、妹の自分に対するのではないではありませんか。さればと言って、妹は自分の力だけで主人の愛を自分に向けて新らしく催し出さす見込はありません。
妹の心は乱れながら、その乱れを主人に隠しています。