Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
主人はこの頃はかなり妹に対して姉に向っていたと同じ気持になれて来たと言って、姉の遺身として大事に取って置いた持ちものをぽつ/\妹に取出して譲って呉れるようになりました。妹は、表面はとにかく、内実の乱れ心に於て、どうして姉の着物を肌身につけることが出来ましょうか。「おまえさんにやった紺絣もそういう意味からやったのだった」と、ご新造さんは言いました。
今夜はまたます/\姉に肖て来たと主人に褒められて妹のご新造はこの姉の晴着の遺身を貰ったのでした。
「しかし、この晴着もおまえさんにあげます。あたしゃ、主人がそうなって来るほど自分というものはどこかへ追い寄せられる口惜い切なさは、どうしていゝか判らなくなるんだよ」
わたくしは、この悩みの女に向って、こういう一言を思い付きました。
「自分が姉になるのが嫌いだったら、姉をこそ、自分に生れ更らしたら、どう」
だがわたくしは遂に唖を護り通しました。今のところそんな小癪な言葉は、たとえ思いつけても、口から出ません。ただ俯向いていますとご新造はわたくしの手を取って言いました。
「あら、おまえさん泣いているのね。物狂も思う筋目のありと申すてことが謡の文句にあるが、――それでは、ちっとわたしの言ったこともおまえさんの胸に響いたのかえ」