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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうじょうるてん

生々流転

岡本 かの子

Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme

Aozora Bunko

それでふだんガソリンの用意なぞはなくガソリンを自分で持って来た客だけにモーターボートを貸すことにしています。

すでにこの辺でこんな商売は時勢に合わないと悟ったお秀は思い切って引越しをするか、それともこの商売を時勢に合うよう振向けるかこの夏を限って決断することにきめています。

それでもまだ、この川に馴染んだ竿味を忘れかねる東京の下町の釣人や近所の工場に出ていて遠出の時間を持たない職工たちが毎日三四人ずつは船を借りに来ます。きょうも三ばいほど出て、その船は日没頃に帰って来ました。しかし久振りに貸手のあったモーターボートは今だに帰って来ません。七月はじめの大水のとき以来、使わなかったアセチレンの照光器を灯してお秀は待っているのでした。

その客は妙な客でした。自分の娘らしい女を連れた紳士でした。河岸に繋いであるモーターボートを見ると、急に思い立ったものと見え、運転手に町のスタンドからガソリンを買わして来てまでして、ボートを借りて出船して行きました。娘らしいのがエンジンを受持ちましたが扱いは慣れていました。父親らしいのは少し酔っているようでしたが、お秀の店から鯊釣りの道具と餌を買入れて、船が岸を離れるとき運転手がまた迎えに来ますかと訊いたのに対して、不要の旨を答えたあとで、こう言いました。