Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
三十歳前まではもう茶の湯謡曲から書画骨董のような老人染みた道楽に浸っていました。中にも水石は彼が最後に陥ち込んだ道楽で××町に庵風の家を作り、庭に千金の石を陳べて、門に縦覧随意という札をかけて納まったりしました。故郷の村には兄が残っていましたが、この兄は彼に輪をかけた道楽もので、家の有りものを持ち出しては派手な使い方をしました。彼の道楽も、兄ばかりにそう家の物をやみ/\と使わせぬという反抗心もあったのですが、彼が享楽の生活にも飽き、少し真面目になりたいと、新潟の地を離れて松本の農学校に入って勉強し出した頃には庵風の家も持ちものも殆んど人手に渡していました。
兄が派手な性質で、同じく家産を蕩尽しました後にもその糧を求むる為めには競馬場の下働きをして満足しているに引き代え、弟の花田は渋いもの渋いものと心を潜ませて行きました。彼は農学校時代にも土とか石とかに興味を持ち、辛うじて学校を卒業すると、信濃川の流域を上下し、甲武信の山中に分け入ったりして十年ほどの無為の年月を過し、秩父の奥からぶら/\多那川の流域に沿ってこの鷺町に辿りつく頃には完全な乞食として生活している自分を発見して苦笑していたそうです。