Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうじょうるてん

生々流転

岡本 かの子

Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme

Aozora Bunko

町を逆にとって返し、多那川の川べりの草堤に来てぶらり/\逍遥します。

雨気の多い歳には似合わなく晴れた日の朝でした。青く澄み渡った空のその青さを一剥ぎ/\して焼けた熱い地金がむき出されて来るようでした。空と同じ変化の色を見せながら川はぐん/\水を上げています。木立という木立で蝉が勇ましく鳴き立て、空気に縮緬皺でも寄るかとさえ思いました。眩しく光る葭原の中からよしきりが皮膚を抓るような鳴き声を立てゝ、快活に葭から出たり入ったりしています。雲はすべてそっちへ掻き寄せられたように大山の山脈から秩父の峰へかけて濃く棚引いています。それでもその上へ抽んでゝいる連峰は眼に沁みるほど青いのです。

釣船宿のお秀は稼業柄、戸を早く開けて店つきを整え、定刻に廻って来る餌屋から鯊釣りの餌のごかいだの、鮒釣りの餌のきじだのを少し許り買ってから店先で朝刊を見ています。

わたくしが「おはよう」というとお秀も「ぼんやりのお喋かい。相変らず早いのね」といいました。

そこへ常客の鮒釣りの客が一人見えたので、預った竿を出してやり、餌と茶莨盆を船に入れて船を送り出しました。

お秀はふと、ゆうべ到頭帰って来なかったモーターボートを思い出したらしく、ゆうべの乗船客の身元控帳を調べ始めます。