Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうじょうるてん

生々流転

岡本 かの子

Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme

Aozora Bunko

「えゝ」と答えました。

母は顔の色を少しも動かさずに、

「行くんなら、家を別々に出るのよ――みんなに気取られちゃ駄目よ」

池上は先に家を出て行きました。わたくしは着物に着換えるために二階の自分の部屋へ上って行きました。こゝは、もと父の部屋であったのを、父の死後わたくしの部屋に宛てられ、部屋の調度など、かなり片付けられましたが、床の間の違い棚の上に法令書のようなものが二三冊、それから白耳義製のウヰスキー瓶のセットなど、父の面影がなお偲ばれました。父はこゝで池上から頼まれた仕事で目算書や届書を検べるのに畳の上にごろりと転がりウヰスキーをちび/\飲みながら目を通していました。父は若いときから玄関番や使い走りに人から使われおち/\机に向って勉強したことがない。それであゝして勉強する癖がついたのだろうとしまは話しました。寒いときは下に敷いてある紺毛氈の端をとってくる/\と身体に巻き、葉巻き虫が巣を作った恰好でうたた寝をしていました。見ていて何となく佗しい感じの寝像でした。

窓の外の堀川の水へ夕栄えが映り、その反射がまた二階の天井へ射返して明るい波型が止め度もなく揺れております。