Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
女役者はルイ子といって、その座中では花形だそうである。乞食は兵庫島と呼ばれていて、とても汚い乞食であった。
わたくしが川やお秀の姿を眺めながらうと/\と取り留めもないことを考えていますと、橋の上から女の声がしました。
「文ちゃん。うちの餓鬼に歯が生えた」
それは女乞食のお三らしくあります。橋の下でお秀が黙っていますと、橋詰から土手の上へ子供を抱いて石油鑵を下げ、跛足をひいて来るお三の姿が現れました。
「あれっ、貸船屋のお嬢さんかね。おらまた文ちゃんいるかと思ったよ」
お三は手束ねのぼや/\した頭を覗き込まして言いました。
「いゝから、その赤ちゃんの歯が生えたところ見せて呉れない」
お秀は、何だか身体のしんからむず痒いものを感じたように自分の乳房が蠢めくらしいのを掌で押えました。
「そうですか、見て下さいますか」
さすがに悦ばしそうに跛足の足で堤を下りかけたが覚束なさそうなので、お秀の方から登って行ってやりました。
「どれ/\」
お三は破れた着物の袖口で道具のようにこどもの顔を拭いてから突き出しました。
「汚のうございますよ」
平べったくて眼鼻のつけどころが大まかな、そして顎だけしゃくれている顔が母親そっくりですが、こどもの顔にすると愛嬌がありました。