Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
想いをし、こゝに新なる心理に門出した。
……………………………………………………
わたしはこれを聴いてから三日の間に三段に心がでんぐり返るのを感じた。まず最初は秋雄の手を取り激しく振って言った。
「よく、そうして呉れた。わたしの最大の苦しみは、わたくしの義理のためにお艶が十八年間も禁慾していたということだった。しかし実はそれが無かったのだ。わたしはこんなに生れてから重荷を卸した気持のしたことはない。おれは君にこのようにお叩頭をしてから、何でも奢るよ」
次の夜が来たときわたしは秋雄を避けてさめ/″\と一晩中泣いた。それは青年になってからは嘗て零したことのない涙だった。わたしは青年になってから父のため師匠のため、その憐れな心根を察して何遍か泣いたことがある。しかし自分自身の不憫さについては子供のとき以外泣いたことがないではないか。躾けが筋目を言い立てゝ自分のために泣くということはヱゴイズムで自分に甘える嫌味な涙とした。
その夜は心逝くばかり泣いた。われとわが躾けを外ずして、わたくしは自分のために始めて泣いた。その生涯の馬鹿正直さ加減を、おかしな男気を、ヒロイズムを、自分を捨てゝ人の注文に嵌るその偶像性を、その見栄坊を、嘲りながら泣いた。