Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
わたくしは風呂敷包を持って、一たん家に帰りましたものゝ、まるで落付いた心はありません。何だか無垢の人を傷めた気持で、どんな事情なのか、それは本当なのか問い訊す余地もないほど、乞食の老人の言った安宅先生退職の話は、かすかながらも身に覚えがあるのが身の内から証拠を言い立てゝ、真実に思えて仕方ありません。これはわたくしからも及ばずながら早く処置をつけてあげなければいけない。わたくしは夜一夜まんじりともせず、母が「この子はどうかしてるよ」と言ったくらい立居の所作もとちりながら、あくる二十五日の朝は早々に、吉良や義光ちゃんや八重子のところへ自動電話をかけました。
「たいへんよ。安宅先生が学園をやめるのよ」
そして、みんなが相談に集るのに都合のよい山の手のデパートの階上の食堂を指定しました。そこはまた学園行の郊外電車にも近くありましたから。
わたくしがバスで馳け付けると、三人の顔はもう集まっていました。南向きの窓硝子に近い衝立の蔭のテーブルに席をとって、斜めに差し込む日の光に朝の顔を眩しくしていました。吉良はまだ寝起きの眼を腫れぼったくして、その暇のなかった朝飯の代りに、ホットケーキを食べていました。