Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
わたくしは正月といったとて、別に面白いことのあるわけでなく、たゞ厚化粧をして、着物を着換えていなければならない億劫さに不平の気持で、自分の部屋に引籠り、手細工などしていました。四月に学園の普通科を卒業して研究科へ入るのが楽しみです。そんなことを考えていますと、とき/″\母が階下から
「ご近所の方が、みんな出て羽根をつくからあんたも出なさいよ」
と言うので、嫌々、母と一緒に羽子板を持って表へ出ます。
ふだんは、たいして交際もない商家や、しもた屋の家の者が大ぜい、往来に出て一年に一度の親しい顔つきになって羽根を送り合います。負けると筆でお白粉を顔に塗る。嫌がる、追っかける。そのうちほろ酔い機嫌の男たちも仲間に入って来て、わんわという騒ぎになります。
空は磨いたように晴れて、背丈高い門松の笹の葉を、風がざわめかします。いま獅子舞が堀川の小橋の上を渡ると見えて、大鼓の音は河岸の建物に木霊して、あたり四方を祭のように浮立たせます。続いて初荷の囃しが通ります。やっぱり外へ出てみれば満更、悪い気持もしません。
母がこういう手合いの中に入っての仕こなしは、また鮮かなものであります。