Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
Lesen Sie 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.598 Zeichen · 182 Bildschirme
突然パンパンという音がして、すぐに続いて悲鳴が起こった。
勘右衛門が平手で京助の頬を、二つがところ食らわせて置いて、包物をグイと引ったくったため、京助が悲鳴を上げたのである。
こうして、松倉屋勘右衛門は、包物を手中には入れたけれど、持ちつづけることは出来なかった。
いつの間にどこから来たのであろうか、一見して放蕩で無頼に見える、三十がらみの大男が、勘右衛門の側に突っ立ったが、顔立ちがお菊とよく似ていて、好男子であることには疑がいがなかった。左の眼の白味に星が入っていて、黒味へかかろうとしているのが、人相をいやらしいものにしている。濃い頬髯を剃ったばかりと見えて、その辺りが緑青でも塗ったようであった。
お菊の兄の弁太なのであった。
その弁太が右手を上げたかと思うと、ポンと勘右衛門の小手を打った。
不意に打たれたことである。勘右衛門が持っていた包物を、取り落としたのは当然と云えよう。
「おい」と弁太が声をかけた。
「おい京助さんそいつを拾って、早く行く所へ行くがいいよ」
それから勘右衛門へ眼をやったが、ニヤニヤ笑うと揉み手をした。
「妹に話がございましてね、参上したのでございますよ。