Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
Lesen Sie 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.598 Zeichen · 182 Bildschirme
(弁太という男は大嫌いだが、今日はにわかに好きになった。俺を助けてくれたのだからな。あの男が加勢してくれなかろうものなら、奥様からの預かり物を、すんでに旦那に取られるところだった。よかったよかった本当によかった。……それにしても一体包物の中には、何が入っているのだろう。奥様は奥様であんなにも真剣に、「途中で誰が何と云おうと、よしんば誰が止めようと、決してこれを渡したり引っ返して来てはいけない」と云われた。先方へ渡せと仰せられた。旦那は旦那で怖い顔をして、是非によこせと云って取ろうとした。大切な物には相違ない。何だか中身が見たくなった。ちょっと包物をひらいて見ようか)
(いや!)とすぐに思い返した。
(それこそ不忠実というものだ。何であろうと彼であろうと、俺に関係はないはずだ。俺の役目は一つだけだ。書面に書かれてある宛名の人へ、包物を直接に手渡して、返事と一緒に下さる物を、奥様へ持って帰ればいいのだ。……おッ、何だ、おかしくもない! まだ届け先を見なかったっけ)
京助は懐中へ手を差し込んで、仕舞って置いた書面を引き出した。
根津仏町勘解由店、刑部殿参る――