Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
Lesen Sie 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.598 Zeichen · 182 Bildschirme
「松倉屋の女房を知っているかな?」
「美人で派手好みで交際好きで、評判の女房にござります」
「そうして大分若いはずだ」
「二十三歳とか申しますことで」
「しかるに松倉屋勘右衛門は、六十一歳とかいうことだ」
「大分違うようでござりますな」
「で、よくないことが起こる」
「どうも私には解りませぬが」
「身分違いの持っていけない物を、松倉屋勘右衛門が持っているからだよ」
「…………」
やはり碩寿翁には解らないらしい。黙って屋敷を見上げ見下ろしている。
「それ第一に年が違う。ええとそれから身分が違う。と云うのは女房のお菊というのは、富豪の商人の松倉屋などへ、輿入れすることなど出来そうもない、貧しい町家の娘だそうだ。で女から云う時は、松倉屋の財産に眼が眩れて、若さと美しさとを犠牲にしたのだし、松倉屋の方から云う時には、女の若さと美しさのために、財産とそうして位置と名誉とを、犠牲にしたということになる」
「が、しかしそのようなことは、世間にザラにありますようで」
「そう云ってしまえばそれまでだがな、いけない事情があるらしいよ」
極東のカリフ様はこう云って来て、フッと話を横へ外らせた。