Japanische Klassiker mit Furigana
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こうしゅうちんぶたい
甲州鎮撫隊
国枝 史郎
Lesen Sie 甲州鎮撫隊 (こうしゅうちんぶたい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.891 Zeichen · 28 Bildschirme
滝と池
「綺麗な水ですねえ」
と、つい数日前に、この植甚の家へ住込みになった、わたりの留吉は、池の水を見ながら、親方の植甚へ云った。
「これが俺んとこの金箱さ」
と、石に腰をかけ、煙管をくわえながら、矢張り池の水を見ていた植甚は、会心の笑いという、あの笑いかたをしたが、
「この水のために、俺んとこの植木は精がよくなるのさ」
「まるで珠でも融かしたようですねえ。明礬水といっていいか黄金水といっていいか」
「まあ黄金水だなア」
「滝も立派ですねえ。第一、幅が広いや」
「箱根の白糸滝になぞらえて作ったやつよ」
可成り広い池の対岸に、自然石を畳んで、幅二間、高さ四間ほどの岩組とし、そこへ、幅さだけの滝を落としているのであって、滝壺からは、霧のような飛沫が立っていたが、池の水は平坦に澄返り、濃い紫陽花のような色に澱んでいた。留吉は、詮索好きらしい眼付で、滝を見たが、
「でもねえ、親方、この庭の作りからすれば、あの滝、少し幅が広過ぎやアしませんかね」
「無駄事云うな」
と、植甚は、厭な顔をし、
「俺、ほんとは、手前の眼付、気に入らねえんだぜ」
「何故ね」
「女も欲しけりゃア金も欲しいっていうような眼付していやがるからよ」