Japanische Klassiker mit Furigana
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まちのおひめさま
町のお姫さま
小川 未明
Lesen Sie 町のお姫さま (まちのおひめさま) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.941 Zeichen · 4 Bildschirme
それらを聴いても、けっして昔のように感心しないばかりか、またかというふうに、かえって、退屈を感じさせたのであります。
お姫さまは、この世の中に、自分ほど、よい声のものはないと思っていられました。また、自分ほど音楽の名人はないと考えていられました。そして、そう思って窓ぎわにすわって、山に出る月をながめながら、よい声で歌をうたい、琴を鳴らしていられますと、四辺は、しんとしてすべての草木までが、耳を澄まして、このよい音色に聞きとれているごとく思われました。
このとき、ふと、お姫さまはおうたいなさる声を止め、お鳴らしなさる琴の手を控えて、ずっと遠くの方に、耳をお澄ましなされました。すると、それは、自分よりも、もっとよい声で、歌をうたい、もっと上手に琴を鳴らしているものがあるのでした。
「はて、この山の中にだれが、歌をうたい、琴を鳴らしているのだろう。」と怪しまれました。そして、このことをお供のものにおたずねなされますと、
「いえ、だれもいるはずがございません。また、私どもの耳には、なにも聞こえません。ただ、聞こえますものは、松風の音ばかりでございます。」とお答え申しあげました。