Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎわく
疑惑
江戸川 乱歩
Lesen Sie 疑惑 (ぎわく) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.308 Zeichen · 37 Bildschirme
親父は古風に、ハンカチを嫌って、手ぬぐいをたたんで懐に入れているくせだったし、母親や妹は、ハンカチは持つけれど、無論女持の小さい奴で、まるで違っていた。だから、そのハンカチを落したのは、兄貴かおれかどちらかに相違ないのだ。ところが、おれは親父の殺される日まで、ずっと四五日の間も、その庭へ出たことはないし、最近にハンカチをなくした覚えもない。とすると、その親父の死がいのそばに落ちていたハンカチは、兄貴の持物だったと考える外はないのだ」
「だが、お父さんが、どうかしてそれを持っていられたという様な……」
「そんなことはない。親父は、外のことではずぼらだけど、そういう持物なんかには、なかなか几帳面な男だった。これまで、一度だって、他人のハンカチを持っていたりしたのを見たことがない」
「……しかし、若しそれが兄さんのハンカチだったとしても、必ずしもお父さんの殺された時に落したものとは限るまい。前日に落したのかも知れない。もっと前から落ちていたのかも知れない」
「ところが、その庭は、一日おき位に、妹が綺麗に掃除することになっていて、ちょうど、事件の前日の夕方も、その掃除をしたのだ。