Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじんのふくしゅう
痴人の復讐
小酒井 不木
Lesen Sie 痴人の復讐 (ちじんのふくしゅう) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.482 Zeichen · 13 Bildschirme
自分で自分のことを言うのも変ですが、生来、頭脳はそんなに悪いとは思いませんけれど、至って挙動が鈍く手先が不器用ですから、小学校時代には「のろま」中学校時代には「愚図」という月並な綺名を貰いました。然し私は、寧ろ病的といってよい程復讐心の強い性質でしたから、人が私を「のろま」とか「愚図」とか言いますと、必ずそのものに対して復讐することを忘れなかったのです。復讐と言っても侮辱を受けたその場で拳を振り上げたり、荒い言葉を使ったりするのではなく、その時は黙って、寧ろにや/\笑って置いて、それから一日か二日、時には一週間、或は一ヶ月、いや、どうかすると一年もかゝって適当なチャンスを見つけ、最も小気味よい方法で復讐を遂げるのが常でした。これから御話しするのもその一例であります。
T医学専門学校を卒業すると、私はすぐ眼科教室にはいりました。学校を卒業しても、相も変らぬ「のろま」でしたから性急な主任のS教諭は、私の遣り方を見て、他の助手や看護婦の前をも憚からず Stumpf, Dumm, Faul などと私を罵りました。いずれも「鈍い」とか「馬鹿」とか「どじ」とかを意味する独逸語の形容詞なんです。